嫉妬?
「おまえさ、なんとも思ってねーの?」
池田光流は怒っていた。
元祖お祭男。
決して華奢な肉体では無いが、生まれつきの美しい顔。
(忍の姉、渚に言わせると、美形と呼ぶには品の無い顏だそうだが。)
先日行われた緑都学園の文化祭。
光流は女装コンテストに出場し、普段から女にしか見えない隣室の如月瞬をも押え、見事優勝したのだった。
はっきり言って女装には自信がある。
嫌いではない。
ではいったい何に怒っているのかというと…
今目の前にいる同室の手塚忍に怒っていた。
文化祭での光流の女装写真の売り上げが好調であると、面白そうに話す忍。
そんな忍の顔を見たら何となくムカついてきた。
嫉妬して欲しいとか、そんな女々しい気持ちは一切無いつもりだが、こいつはいったいどう思っているのか。
試してみたくなった。
「なんともとは…どういう意味だ?」
相変わらすの鉄面皮で返してくる。
くそぉ〜。
「や、だからさ・・・」
やっぱり忍は手ごわい。
ちょっとやそっとじゃ動じない。むしろ俺の考えまでお見通しって感じだ。
「まさか、おれに嫉妬してほしいのか?」
「−ちがっ…」
「そんな姿を他のやつらには見せないでくれって―――」
「ちげーよっ!!!」
勢いで怒鳴りつけ、忍の手を引っ張って言葉を制止させた。
しまった。
くっそ。
「…ちょっと、おまえの面見たらイライラしてきただけだよ・・・」
うまくフォローする言葉も見つからず、ふて腐れた顔で毒づいた。
何となく気まずくなり光流は横に視線をそらした。
「・・・はじめてあった時から」
忍が静かに口を開いた。
「みんながおまえを見てた。おまえは何処にいても、誰といても…誰よりも目を引くよ。」
今度は忍が視線をそらす。
「そんなおまえだから、今もまだこの部屋で暮らせるんだと思う。おれしか知らない光流がいるし、光流しかしらないおれも…いるはずだ。」
「…忍」
「女装して楽しかったんだろ?みんなに注目されるのは嫌いじゃないだろ?」
「まぁな・・」
「それならいいじゃないか。おれも楽しかったぞ、主催者としてもな」
「・・あぁ、そうだな・・」
そっか。
まぁ、いいか。
おれはくりかえす。
おれしか知らない忍がいて、忍しか知らないおれもいる。
かみ締めるようにくりかえす。
何度も何度も・・・。



