聖地☆通信

美月胡桃の同人ブログ♪

嫉妬?


「おまえさ、なんとも思ってねーの?」


池田光流は怒っていた。

元祖お祭男。
決して華奢な肉体では無いが、生まれつきの美しい顔。
(忍の姉、渚に言わせると、美形と呼ぶには品の無い顏だそうだが。)
先日行われた緑都学園の文化祭。
光流は女装コンテストに出場し、普段から女にしか見えない隣室の如月瞬をも押え、見事優勝したのだった。
はっきり言って女装には自信がある。
嫌いではない。

ではいったい何に怒っているのかというと…


今目の前にいる同室の手塚忍に怒っていた。


文化祭での光流の女装写真の売り上げが好調であると、面白そうに話す忍。
そんな忍の顔を見たら何となくムカついてきた。
嫉妬して欲しいとか、そんな女々しい気持ちは一切無いつもりだが、こいつはいったいどう思っているのか。

試してみたくなった。

「なんともとは…どういう意味だ?」

相変わらすの鉄面皮で返してくる。
くそぉ〜。

「や、だからさ・・・」

やっぱり忍は手ごわい。
ちょっとやそっとじゃ動じない。むしろ俺の考えまでお見通しって感じだ。

「まさか、おれに嫉妬してほしいのか?」
「−ちがっ…」
「そんな姿を他のやつらには見せないでくれって―――」
「ちげーよっ!!!」
勢いで怒鳴りつけ、忍の手を引っ張って言葉を制止させた。


20070929031213.jpg



しまった。
くっそ。


「…ちょっと、おまえの面見たらイライラしてきただけだよ・・・」

うまくフォローする言葉も見つからず、ふて腐れた顔で毒づいた。
何となく気まずくなり光流は横に視線をそらした。



「・・・はじめてあった時から」
忍が静かに口を開いた。
「みんながおまえを見てた。おまえは何処にいても、誰といても…誰よりも目を引くよ。」

今度は忍が視線をそらす。

「そんなおまえだから、今もまだこの部屋で暮らせるんだと思う。おれしか知らない光流がいるし、光流しかしらないおれも…いるはずだ。」
「…忍」
「女装して楽しかったんだろ?みんなに注目されるのは嫌いじゃないだろ?」
「まぁな・・」
「それならいいじゃないか。おれも楽しかったぞ、主催者としてもな」
「・・あぁ、そうだな・・」

そっか。
まぁ、いいか。


おれはくりかえす。

おれしか知らない忍がいて、忍しか知らないおれもいる。


かみ締めるようにくりかえす。

何度も何度も・・・。


2007/09/29 03:15 
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みつしの5

時計の針が12時を廻ったころ、空腹に堪えかねた光流が口を開けた。

「なー、食堂ってさ…、多分やってねぇよな?俺達二人だけのために作っちゃくれねぇか…。」
「そこまで甘えようとは、片腹痛い。」
「…おい‥。」

忍の毒っぽい言い回しの変化に、光流は突っ込んでしまう。

忍の変化に、ひそかに光流は喜びを感じていた。

以前は、いつまでたっても仮面を外そうとしない忍に苛立ちを感じていた。
自分からふっかけた大喧嘩。
忍に解ってほしいという思いもあったが、二度と絆を修復出来ないかもしれないという覚悟もしていた。
そんな彼がこれから三年間、自分と向き合っていく道を選んでくれたことが嬉しかったのである。

しかし光流はしたたかな男だ。

忍が仮面を外し心を開いてるように見せかけて、まだ壁を作り悩んでいることに気付いていた。

『さてと…どうしよっかな…。』

自分と向き合うことを選んでくれた忍を、大切に、もっと本音で接しあいたいと思った。

変わりたいと願ってる忍の力になっていきたい。
そう思った。

2006/11/19 23:17 
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みつしの4

そんなこんなで、騒動を起こした当人たち。

池田光流と手塚忍は大量の課題を出され、謹慎処分中であった。

誰かと本気でぶつかった事が初めてである忍は、和解の後どう接すればよいのか戸惑っていた。

そんな忍をよそに、すっとんっきょうな声を上げる隣に座るルームメイト。
「っふぁぁぁぁ〜!!ったく、なんだよこの課題の量は!」
補欠入学の光流は授業についてくだけで必死であった。

ちなみにフォローしておくと、この緑都学園は男子校で、T大進学率NO.1と言われているくらい、歴史も長い超進学校である。
つまりは将来エリート街道まっしぐらな少年たちの集まりなのである。
T大やエリート大学を目指す若者が全国から集まるのだ。
地方から上京してきた生徒が生活をするのが、この緑林寮。通称”グリーンウッド”である。

忍は長野県の旧家のお坊ちゃまで、光流はグリーンウッドでは珍しく実家が都内にある。
ちょっとした事情で実家を離れ寮暮らしをしている。

「っちっくしょ〜。授業よりきついって…。」
「…自業自得だろ?」
「手塚!おまえっ。おまえが原因だろーが!!たっく、おまえにはどってことないだよな、こんな課題。人間じゃねーよ。」
「失礼な・・。」

寮で謹慎中。
2人きり。
監視する人もいない。

こんな謹慎処分でいいのかとも思ったが、学年主席と学園のアイドルに対する信頼は結構厚いようだった。

「そういえばさ、明日選挙だよな・・?」
「ああ、そうだな。」
「おまえも俺も謹慎中ってことは・・立会演説とか出来ないけど・・立候補って取り消されないのか?」
「ああ、演説はないけど選挙は普通にするらしい。」
「ふ〜ん。じゃ、おまえの当選はとりあえず確実か。」
「そうだな。」
「……かわいくねーな。」

なんだか愛想がなくなって、妙に淡白な受け答えになっていた。

「わるいな。気を使うのをやめてみたんだよ。」
「…そっか。それでいいんじゃねぇの?それがおまえの自然体ならな。」
「…うん。」

確かに笑顔を貼り付けた愛想笑いはやめた。
でもなんだろう。
もう一歩。

この池田光流という存在に踏み込んでみたいと思った。

それでも踏み込むには、まだ勇気が足りなかった。

2006/11/19 01:08 
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みつしの3

翌日の放課後。

忍は光流に図書室に呼び出され、その喧嘩は起こった。



「―…悪党。」


知ってる。


「お前が悪党に戻ってお前に何が残る!?なんにもねえだろうが!!」


知ってる。

解ってる。

認めたくなかっただけだ。


もうずいぶんと前から揺れていたのかもしれない。

悪党のまま生きていくと思っていた。

だけど、光流の強さや明るさに触れるうちに、救われたいと…願ってしまっていたのかもしれない。


「もうやめろ。お前が不幸になる必要なんかないんだから」


どうしてこんなに…胸が熱くなったのだろう。

こいつと…。

一緒にいたい。


こんな願いが許されないと解っている。

それでも…

それでも願ってしまった。

2006/11/19 00:07 
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みつしの2


この春、首席で緑都学園に入学し、文武両道にして容姿端麗。そして物怖じしない性格で、忍は全校生徒、教師達から一目置かれる存在になった。

彼は同室の光流を応援演説に添えて、生徒会の副会長に立候補した。
選挙を行う前から忍の副会長当選は確実だった。
そんな彼が起こした行動。

それは、忍同様に当選確実である現副会長の仲林を会長の座に座らせないため…。
選挙違反である対立候補の票集めをすること。

自分の思い通りに、掌で転がすために…邪魔な存在を排除する。

忍の行動は劣悪を極めた。

他人の弱みを握り、それを盾に票集めをしていた。

あの雨の日。

忍の行動を阻止しようとする連中に襲われているところに光流と鉢合わせた。

どうしてだろう。

ごまかそうとすれば簡単にごまかせたのに。

忍は光流に…全てを話していた。

静かな笑顔を張り付けている自分ではない。

醜くて悪党な自分。

本当の自分。

…誰よりも

大嫌いな自分。

2006/11/18 15:13 
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みつしの1


ここは緑都学園緑林寮の211号室。

生徒会役員選挙期間中の真っ只中。
図書室での殴り合いの喧嘩が原因で謹慎中である者が二名。

他の生徒たちは皆登校し、今頃3時限目の授業の最中であろう。

皮肉にも喧嘩した者同士、緑林寮内の、しかも同室であるという現実。

一応の和解はしたものの、溝は確かに残っていた。

211号室の住人の一人。

―…手塚忍

本気で誰かと向き合って本気で喧嘩することは、彼の人生の中で初めてのことだった。

初めて味わう確かな敗北感。

でもそれは何故か悪い気分ではなかった。

欺いて、利用して、偽って、蔑んで…そして…諦めながら生きてきた。

心が乱れて、全てが崩れ落ちたのは、あいつと出会ったときから必然的に決まっていたのかもしれない。

そう。

211号室の住人の片割れ。

―…池田光流。

明るくて誰からも好かれて、天性のリーダーシップを持つがき大将。

簡単に丸め込んで、利用できると思っていた。

何故気付かなかったのだろう。

偽りの笑顔で欺くには、彼の心は強すぎた。

彼を出し抜いて利用しようとした代償は、何十倍にもなって返ってきた。

これからの自分の人生を、大きく揺るがすほどに…。

2006/11/18 06:46 
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プロフィール

Author:美月胡桃
出身地:東京都

漫画・アニメ・ゲーム系が好きなオタクです。

絵を描いたり、詩を書いたり。
昔はコスプレもしたり…。
一通りのオタの道を通って、現在はだいぶ落ち着いています。

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